また同じところでつまずいた。
「ほら、昔からこうなんだ。私はどうせ変わらない」。
——その一言が、いちばんあなたを縛ってる。
過去に何があったかより、「過去を証拠にして、今の自分を決めてしまう」クセのほうが、ずっと重い鎖なんだよ。
数学に「マルコフ過程」という考え方があります。ざっくり言うと、次に何が起きるかは“今の状態”だけで決まり、どんな過去をたどってきたかは直接は効かない、というもの。
サイコロがいい例。前に何が出ていようと、次の目の確率は変わらない。——人生のすべてがそうとは言わない。でも、この見方を借りると、「過去にダメだったから、未来もダメ」の間にあった“当然のつながり”が、実はそんなに固くないと気づける。
※マルコフ過程は、心のしくみを分かりやすくするための“たとえ”として使っています。数学・物理の厳密な主張ではありません。
脳は「もう傷つかないように」と、過去の嫌な体験からルールを作ります。「昔こうだったから、今回もこうなる」と、過去を証拠にして今の自分を見てしまう。
そうやって見ていると、脳はその証拠ばかり拾うから、本当に同じ結果になりやすい。過去があなたを縛っているんじゃなくて、過去をずっと見つめ続けているあなたの“観測”が、今を縛っている。
全部、過去を“今の自分の判定”に使っている言葉。気づくだけで、鎖は少しゆるむ。
過去の出来事は、もう変えられない。でも、「それを今の自分の証拠にするかどうか」は、今のあなたが選べる。過去を無かったことにしなくていい。ただ、「あれは“あの時”の話。次は“今のあり方”で決まる」と、置き場所を変えてあげるだけでいい。
「マルコフ過程」では、次の状態は“今”だけで決まり、過去と未来に直接の糸はないとされます。これを借りると、過去に何があっても『今のあり方』で次は変わると捉え直せます。あくまで一つの見方です。
脳は「もう傷つかないように」と過去の体験からルールを作ります。『昔ダメだったから今回も』と過去を証拠に今を観測してしまうのです。弱さではなく、身を守る仕組みです。
「昔こうだったから」という文に気づくこと。そして過去を証拠にするのをやめ、“今のあり方”で選べる小さな一歩を一つ選びます。出来事は変えられませんが、今の選択は変えられます。
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これは、心のしくみを見つめるための読み物です。マルコフ過程は分かりやすく伝えるための“たとえ”で、数学・物理の厳密な主張ではありません。つらい記憶が繰り返し押し寄せるときは、我慢せず専門家や医療機関を頼ってくださいね。