「忙しいから、また今度ね」と言われて待っていたのに、相手は別の人と出かけていた。本当は寂しかった。少し腹も立った。——なのに、その気持ちを感じきる前に、頭が別のことを考え始める。「私と会うのは楽しくないのかな」「私には、そこまでの価値がないのかな」。相手の行動に傷ついたはずなのに、いつの間にか、自分の価値を疑う話になっている。
ひとつでも「あ、これ私だ」と思ったなら——読み進めてみてください。あなたの価値が低いから、こうなっているわけではありません。
相手に後回しにされて、寂しかった。悲しかった。腹も立った。——これは、相手の行動に対する、まっとうな反応です。でも、その痛みを感じ続けるのはしんどい。だから心は、いつの間にか「私に価値がないから、こうされるんだ」という話にすり替える。自分のせいにしたほうが、理由がはっきりして、少しだけ落ち着くからです。
けれど、これを繰り返すと、傷つくたびに自分の価値が削れていく。相手の態度で、自分の値段が決まるようになる。優しくされたら価値がある、冷たくされたら価値がない——そんなふうに、いつも他人の反応に自分の価値をあずけてしまうんです。
ここに、育ってきた環境が関わることがあります。子どもの頃から、親の機嫌を見て過ごしてきた人——喜んでくれたら安心し、冷たくされたら「何か間違えたのかも」と考える。その繰り返しの中では、相手の反応を確かめずに「私は大切にされていい」と思うのは、とても難しい。
だから、自分の価値を認めるのに、どうしても“理由”が必要になる。何ができるのか。誰の役に立っているのか。どれだけ求められているのか。——でも、理由を探すほど、自分よりできる人が目に入って、価値はまたわからなくなる。これは、あなたが未熟だからではなく、そう生き延びるしかなかった名残なんです。
自分の価値がわからなくなるのは、あなたに価値がないからじゃない。傷ついた自分の気持ちを、いつも後ろに追いやってきたから。相手が自分を大切にしているかは相手にしかわからない。でも、自分が寂しかったかどうかは、あなたにしかわからないんです。
「あなたにも価値があるよ」と言われても、すぐには受け取れない。それが普通です。長い間、他人の反応で自分をはかってきたのだから、急に信じられなくて当然。だから、価値があると信じられる日を待たなくていい。
先にできるのは、もっと手前のこと。「私はあのとき、一緒に過ごしたかった」「後回しにされて、悲しかった」——その気持ちを持つために、何かを達成する必要はありません。相手の気持ちだけ信じて、自分の感情を「気のせいかも」と疑うのは、あまりにもしんどいから。まずは、自分の「寂しかった」を、そのまま受け取ってあげてください。
痛みを感じ続ける代わりに「私に価値がないからだ」と自分の問題にすり替えると、一時的に落ち着くことがあります。長く周りの機嫌をうかがってきた人ほど、相手にどう扱われたかで自分の価値をはかるクセがつきやすいのです。
急いで信じ込もうとしなくて大丈夫です。先にできるのは、寂しかった・悲しかったという気持ちをそのまま認めること。価値の土台は、達成ではなく、自分の感情を置き去りにしないことから育ちます。
関係することがあります。親の機嫌を見て過ごしてきた人は、相手の反応を確かめないと「大切にされていい」と思いにくくなります。この記事は自分を責めないための一つの見方で、医学的な診断ではありません。
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これは、心のしくみを見つめるための読み物です。医学的な診断ではなく、すべての人に当てはまるわけでもありません。つらさが強いときは、我慢せず専門家や医療機関を頼ってくださいね。