「アダルトチルドレン」という言葉を、聞いたことがある人は多いと思います。でも実は、アダルトチルドレンについてはまだ臨床研究が十分ではなく、何をもってそう呼ぶのかも議論がある部分です。だからここで紹介するのは「これに当てはまれば病気」という話ではなく、“こういう傾向を抱えやすい”という、自分を理解するための手がかりです。
ひとことで言うと、問題を抱えた家庭(機能不全家族)で育ち、大人になっても、その影響で生きづらさを抱えている人のことを、広くアダルトチルドレンと呼びます。親の不安定さや、安心できない家庭環境の中で身につけた“生き延びるためのクセ”が、大人になった今も人間関係やメンタルに出てくる——そんな状態です。
物事を最後までやり遂げる「やり抜く力」が低くなりがちな一方、逆にのめり込みすぎる人もいます。最初はすごい勢いで夢中になる。でも、長期的な目標では途中で方向転換が必要なのに、「これが正しい」と思い込むと、間違いに気づけず突き進んでしまう。飽きっぽさだけでなく、途中で調整できない柔軟性のなさも関係しています。結果、人とぶつかったり衝動的になったりして、目標を達成できなくなることがあります。
子どもの頃のトラウマや家庭環境から、感情を表現したりコントロールしたりが苦手になっている場合があります。伝えたいのにうまく伝わらず誤解されやすい。自分ではそれほど怒っていないつもりでも、感情が強く出てしまう。感情の波が激しく安定しにくいと、人間関係や仕事にも影響します。また、変えられないこと(恋人の育ちや過去など)に過剰に反応してしまうのも特徴です。本来は、変えられないことは受け入れ、変えられるところに集中する方が、人生は豊かになっていきます。
家庭環境の問題から、自分の判断に自信を持てないことがあります。普通は子どもの頃、関わりの中で「この判断はよかった/うまくいかなかった」と経験を積み、適度な自信を育てます。それが少ないと、自分の判断が正しいか、常に他人に確認するようになる。SNSの「いいね」や周りの評判を過剰に気にしたり、承認欲求のかたまりのようになって、本当にやりたいことができなくなったりします。「自分は特別だ」と(悪い方向にも良い方向にも)思いやすかったり、よく見せたくて習慣的に嘘をついてしまう(悪意はなくても)こともあります。
とても傷つきやすく、すぐ引きこもったり急に連絡が取れなくなったり。「自分が悪い」「こんな自分はダメだ」と罪悪感を抱えやすい。でもここに矛盾があります——自分を責めるのに、責任を取る行動はしない。「私は悪い」という罪悪感と、「私は悪くない(被害者だ)」という感情を同時に抱えているため、とても生きづらくなります。結果、「自分だけ仲間に入れていないのでは」という孤独感・疎外感も強くなります。
「誰かがいないと生きていけない」と依存的になる一方で、束縛・支配的になったり、近づかれると攻撃してしまったり、両極端に揺れることがあります。また、相手が求めていないのに世話を焼きすぎる「余計なお世話」も。これは自分の問題から目をそらすために他人を助けている場合があり、過度な自己犠牲で自分をすり減らしてしまうことも。人と一緒にいても相手をうかがってリラックスできない、ということも起きます。
家庭環境に問題があったからといって、全員が同じようになるわけでも、人生が決まるわけでもありません。大切なのは、自分にどんな傾向があるのかを知ることです。
過去を受け入れて前に進む方法として、認知行動療法(CBT)やアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)などがあります。ネガティブな感情を無理に消そうとするのではなく、感情を受け入れながら、これからの行動を選んでいく考え方です。
心当たりがある人は、まずこの問いを自分に向けてみてください。
・私はどんな時に、過去の反応を繰り返している?
・他人からの承認がないと、何も決められなくなっていない?
・自分を責めているのに、現実を変える行動を避けていない?
・人を助けることで、自分の問題から逃げていない?
自分の過去を理解し、今どんな反応が出ているかに気づくことで、少しずつ選択を変えていけるようになります。
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※ 本ページは医学的な診断ではありません。アダルトチルドレンは臨床研究が十分でなく、定義にも議論がある概念です。つらさが強いときは専門機関・医療にもご相談ください。心をラクにするための気づきを目的としています。
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